パスケース

パスケースを買った。牛革でワインレッドで3枚のカードが入るパスケースだ。またひとつ、パワーアップしたような気分である。

革小物が好きというよりは、気に入った小物が革製品であることが多い。エイジングは割とどうでもよく、それが革であるということはちょっとだけ大事、そんな温度感だ。

漫画「日本の歴史」の最初の方、縄文時代弥生時代のパートが好きだった。もはやそれしか読んでなかったと思う。何故かその先の有史にはあまり興味が持てなかった。人間がマンモスをやいのやいのと追い立て狩る(命懸けだ)。石器でマンモスの皮を剥ぎ肉を裂き、仲間たちに配分する。そのコマを読んでいるとひどく安心した。そういうものだよな、と思った。かの時代における動物の皮は、生きる為に必要なものだったろうと思う。余地など無く、そこにあるものがすべてだった。大量消費社会など夢のまた夢で、私はその夢の中を生きている。

革小物を買うときは、それと心中するくらいの気持ちで買ってしまう。そして実際心を込めて買ったものについては物持ちが良い方だと思う。革小物を買うたびに私は、マンモスと縄文人と、死んだのち、皮を剥がされる(もしかしたらもれなく肉にもなるかもしれない)牛のことを考える。パワーアップするならするで、祈りというものは必要だと思うのだ。あと、縄文人はマンモスを狩っていたのだろうか、気になっている。