ツバキノツボミ

歩いていたら(私はまた歩いている)ツバキを見かけた。ピンクのツバキだ。花弁が多層で存在感のある花。

私が気になったのは華やかに咲きほこる花ではなく、丸っこい蕾の方だった。鶏卵のような、欠点のない、そうだな私に言わせれば「完璧な」フォルム。卵は好きだ。ゆでたまご、卵焼きなら砂糖抜きで、目玉焼きは半熟ではなくきちんと黄身に火を通したもの。スクランブルエッグと炒り卵は別物(もちろん両方好き)。そして私は卵白アレルギー(それは過去のこと)。

恐る恐る手を飛ばし蕾に触れると、予想していたより柔らかく、そこには花弁の感触。それこそ「花弁がぎゅっと丸まって丸まって中身の詰まったオーバル状のもの」であった。花よりも命を感じるのは何故だろうと思った。花は散るものだが、蕾は咲くものだからか。未来があるから命、なのか?