エンカウント

 平日の散歩中に出会ったもの。

 

 河川敷。謎の植物。宇宙ステーションっぽい形(私は宇宙に漂う構造物の正確な形を知らない)。河川敷というのは空気が複雑だ。きりっと鋭利な冷たさの風がやってきたかと思えば、むわっと生き物の気配がする熱い空気が頬を撫でたりする。アスファルトと土と植物と水があるからかしら、と勝手に一人納得している。平日の河川敷は人気がまばらでフリーダムな場所で、珍しいものが転がっている。橋の下で壁に向かって野球ボールを投げてはゴロをキャッチしをひたすら繰り返しているおじいさんがいた。面白かったのはクロスカントリースキー風にポールを持ち足にはスケーターを履いて、河川敷のコースをするする滑っていく人たち。雪の降らない季節にクロスカントリースキーの選手はあんな風に練習するのかもしれない。楽しそうに見えた。やってみたい。

 

 

 塀の上に乗ったいくら。謎すぎる。散歩中によく意識が向くのはアパートのベランダだけれど(私はベランダというのが好きなのだ)こういうユニークなものを集めなきゃなと、いくらに出会って気が引き締まった。いくらの軍艦とは面白すぎる。なお、私は寿司屋に行ってもいくらはそんなに頼まない。嫌いではないが好きな味でもないからだ。

 

 

 中学校の裏口の門の看板。なるほど、わからなくはない。中学生の頃の私の心みたいだもの。アートだ。

 

 アパートの一室。なんだか道行く人に救いを求めているようにも見え、私はぎょっとした。どきりとする。現実問題、私は何もすることができないのだが何かするべきなのではないかという義務感みたいなものに駆られる。そもそも彼ら彼女らがどう思っているかもわからない。これが人間なら? ・・・。やめよう。そこまで考えるのはやりすぎ。

 

 歩いていると面白いものなど幾らでもあることに気づかされる(いくら?)。何に出会うかなど予想できるわけもない。出かけるときは実のところ億劫な気持ちもあるなかで、堆積した経験で無理やり己を説き伏せ私はいつも外に出かける。