ワクチン接種3回目

 新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種をしてきた。1回目と2回目は自衛隊の大規模接種だったが、3回目は自治体が運営している会場だ。

 正直打つかどうか迷った。

 2回目の接種からおよそ6か月になるタイミングで自治体から封筒が届いたとき、即座に3回目を受けようと思ったか、待ちくたびれたと思ったか。思わなかった。

 1回目と2回目は予約を取ろうにもなかなか取れないという状況でたまたま予約でできたから打ったけれど3回目はどうなのだろう。私は興味本位で封筒に入っていた資料に記載のQRコードを読み込むと、4月半ばくらいまでは予約し放題だった。全部の日にちに「〇」がついていた。なんだこれ。

 だから、私は少し考えることにした。

  • 前提として3回目を受けない理由はない
  • 3回目のワクチン接種は公では推奨されているものだろうし効果が認められているものだ
  • 全国で約30%ぐらいの人が3回目接種を完了していたか(おぼろげ)
  • 問題は「今」接種するかという話
  • オミクロン株による第六波は下降速度は遅いものの緩やかに感染者数を減らしている
  • だから「今」ワクチンを打つメリットはあるのだろうか
  • しかし今後いつでも好きなタイミングでワクチンが打てるとは限らない
  • 今なら自分の都合のいいタイミングで打てる
  • 三連休の中日に打てば仕事を休む必要もおそらくない
  • 打つか

 大体こんなプロセスだったと思う。そして決めたからには粛々と予約作業を進めていく。私は3回目のワクチンを打つことにした。

 当日。予約した時間は午後だったのでその前にできることは済ませようと、筋トレしたり、散歩したり、その途中でカフェオレ飲んだり、公園のベンチで一人座ったり、時間をシステマティックに消化していく。そして歩いている最中は考え事にうってつけだ。だから私は改めて考えることにした。どうして私はワクチンを打つのだろう。

 新型コロナウイルスがこの世で流行し始めてからというもの、私は体調を崩したことがほとんどない。あったとしても「これはコロナウイルスではないな」と、ある程度原因はわかっているものばかり。もちろんコロナだった可能性はありえるし、無症状で無自覚に感染してた可能性も大いにありえる。その場合はただ無症状だっただけのことで身近な人にもうつさなかったということ。

 コロナに罹ったことがない、あるいは罹ったことがあったとしてもそれは無症状に近いものだったとして、はたしてそれはワクチンのおかげなのだろうか。本当にワクチンのおかげだと証明するには、私とまったく同じ(少なくとも体の構成はまったく同じ)の、だけど唯一異なるのはコロナウイルスのワクチンを打ってない状態の人間を用意するしかないのではないか。そして私とほぼ同じように生活し、結果を比較するしかない。当然、不可能だ。つまり、ワクチンの有効性を科学的に検証することは可能だけれど、「私」という個別具体性の場合に限定して検証するのは無理、ということになる。私にはワクチンのことはわからない。そしてワクチンを打ったことによる副反応は体験できてしまう。

 だから私はこう考えている。私がワクチンを打つのは「目に見えないけれど、それは起こるのだ(あるいは起こったのだ)と信じることができるから」だ。

 ワクチンが私のからだにどのような影響を及ぼしているのか、私にはわからない。けれど、ワクチンによってあれやこれや変化した免疫システムが、コロナウイルスの脅威を予防してくれたり発症を抑えてくれたりしてくれていたのではないか。決して証明できないその事実を信じ、これからも期待すること。その効果が副反応より重んじられると思ったから、私はワクチンを打つのだ。(あとは興味本位というのもある。興味と言うのはロケットブースターのようなもので、私は自治体でコロナワクチンを接種したことがなかったので接種してみたかった。)

 

 2回目のときは副反応が割としんどかったので、アクエリアスゼロ1.5リットルと、自分を甘やかすためにチョコレートのメルティーキッスと、翌日出歩けないことも想定してテンションを上げるためにポップコーンの素を買った。準備万端である(本当に?)。

 メルティーキッスなんて買ったの、人生で一度か二度くらいしかない。「ワクチン接種お疲れ様ー」と自分を労いがてら、ひとつ口に含めば、舌の上であまくとろけるチョコに嬉しくなって「もう一個」「もう一個だけ」と箱に手を伸ばし、たちまち箱の中身はすっからかんになった。副反応が本格的に出てくる前に食べてしまった。副反応がきつかったらせめてもの慰みにチョコを食べて乗り切ろうと思ってたのに。

 接種後18時間経過して、熱は37.2℃ほどまで上がった。関節痛と筋肉痛がある。前々日、前日と歩いたりいつもと違う筋トレをしたり、要因が複数存在してどの痛みが何によって生じたものかいまいちわからない。耐えられないほどではなく前回より軽いのが助かる。そして喉が渇く。枕元に置いたアクエリに口をつけると、べこべこ飲めてしまう。市販のスポドリは甘ったるいので半分まで飲んだら水で満たしてまた半分まで飲んだらまた満タンまで入れて。それくらい希釈してようやく飲みやすくなった。1.5リットル+0.75リットル+0.75リットル。つまり3リットルを1.5日くらいで飲むくらいには喉が渇いた。

 接種後24時間経過。翌日の日中帯となる今日も関節痛と筋肉痛があって本調子ではないが熱は平熱近くまで下がった(その後また37℃台前半まで上がるけど、そこまでつらくないので別にいいか)。脇のリンパが張っている気がする。注射した左の三角筋の下あたりはまだまだ痛む。それでも三回目の副反応は二回目に比べると穏やかなもので、自分としては良かったと思う。三回目のワクチンで40℃ぐらい高熱が出た人もいたようなので、上出来と言えるだろう。明日からまた頑張らない程度に頑張る。

 どこにも行けない連休最終日は大量にポップコーンを作ってむしゃむしゃ食べた。