参拝

 とある神社へ。特に年末詣のつもりもなければ、最低限のお参りをした上で何か買うこともなかったが(後述の三食団子を除く)ほどほどの人手でかなりゆったりとまわることができたと思う。参道から一本逸れた道には私以外誰もいない。

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 なんというか、自然のスポットライト。今朝方まで降っていた雨のせいか、空気中に水分が残っているような、日が高く上るまではもあもあしていたように思えた。目を凝らせば潜んでいる何かを見つけられそうな、この場所では人間ではなく人間以外の何物かが絶対的な力を持っていること、突き付けられる、そういう厳粛な雰囲気。

 

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 やばそうな色をした蜘蛛もいた。

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 境内の日の当たらない場所にひっそりとある(けれど中は人で賑わう)茶屋の前に差し掛かる。炭火を囲うように立てられた鮎、団子。寒い中女性が火加減を見ていた。三食団子450円也。迷うなあ…。でもなんだか美味しそうだ。ここは己の直感に従い、三食団子を注文することにした。売り子の女性がどこからともなく皿を取り出し、よもぎ(緑)にはあんこを、よくわからないけど、なんだろう、黄色の団子にはきな粉と黒蜜をかけ、私に差しだす。店内で食べることも可能ということで、無料の温かい茶もセルフで汲み、手ごろな席に座って小休止とする。

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 これがべらぼうにおいしくておいしくて、私は感激してしまった。「旅だから」効果もあると思うけれど(それに朝はコンビニのおにぎり1個しか食べていなかったからひどく空腹だった)それにしてもおいしかった。特に味噌団子。こっくりと濃い味付けの中に甘さと塩辛さの絶妙なバランス、そして味噌だれとプレーンの団子の相性の良さ。良かったあ、この団子で、と今日の旅の成功を確信する(旅が失敗に終わったことなどないのだけど)。口に持っていくとき、少し呼吸をするだけできな粉が辺りに舞ったのが面白く、食べるのに少々てこずったがそれもまた良き。

 

 その神社の鳥居があるというのでついでに川を歩いて渡ることにした。

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 なかなか荘厳な眺め。厳島神社の鳥居はとにかくたくさんの人で賑わってた場所だけども、この鳥居を見に来る人はほとんどいない。同じようなものだと思うけどな。人が少ないほうがいいや、と私は思う。

 川を渡る。

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 それなりに長い橋なのだけど渡るまでの間私以外の通行人はいなかった。横で車が激しく往来している。この橋に行くまでの道のりで「震度5弱の地震が発生した場合は通行止めとなります」という看板を二三枚見かけて、渡るか渡るまいか逡巡したことはきちんと書いておこう。まあ橋が陥落しても(そんなことがあったら大事件であるが、私は悪い事態を想像しがち)背負っているリュックを犠牲にすれば自分は泳げるし大丈夫かなどと考え、結局渡ることにする。橋を渡るとき、いつも自分が川に落ちることを想像してしまう。今までたくさんの橋を渡ってきたが落ちたことはない。

 

 元々予定していなかったところを回ったせいで計画が狂い(というか計画変更した際に電車のことを考慮してなかった)ニアミスで電車に乗り遅れ、さらに次の電車は1時間以上待つというのだから、もう一駅先まで歩くことにする。1時間歩くことが苦ではない性格で本当に良かった。そもそもそういう性格だからこんな無茶な行程を組んでいるともいえるが、にしても、疲れない限りはいつまでも歩くところは自分の良い部分だと感じる。