パスタ

 先の週末に、手持ちのCDを少し整理した。何か捨てるわけでもなく、取り出して「そういえばこんなこともあったね」なんて束の間懐かしみ、再び箱にしまった。

 ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ホームタウン』を見つけた。買ったはいいもののそこまで聴きこんでいないアルバムだ。UCLAを聴く。

満たされないけど

投げ出せそうもない

少しずつ何かを削るような毎日

だけど彼の声とか

ささやかな自由とか

わたしはわたしを抱きしめたいだけ

ASIAN KUNG-FU GENERATION

UCLA』)

 「そういう気分だったのか」と問われれば「いいえ」と答える。「ただし、」私は言葉を続ける。ただし、私は余白を持て余している。

 

 冷凍パスタを電子レンジで加熱する。600wで5分。熱々の明太クリームパスタを皿にあけて、付属の刻み海苔では飽き足らず、家にある刻み海苔をどばどばと大量に振りかける。

 私はパスタが好き。それと同じくらい、いや、それ以上にパスタを食べることが好き。フォークでくるくると麺を巻き取る。ゆっくり、ゆっくり、丁寧に。それを口に運び咀嚼し味わい、再びくるくると麺を巻く。この一連の動作が好き。パスタを箸で食べることもあったけれどそれはとても勿体ないことだった、ということに気がついたのは今年に入ってからだ。

 余白を埋める。パスタで、フォークで。

 パスタやフォークを感じる、余白を作る。

 

 一日を暴力的に台無しにしたくなる弱さを克服したい。きりきりと張りつめた弓、耐える力が欲しい。私はパスタを美味しく食べたい。