自然博物館

これから先、おそらく二度と立ち寄ることがないだろう。そういう場所で一人夕暮れ時をむかえることがすごく好きだと思った。

 

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昔の話

 席替えとか班決めとか、ほんと嫌いだったな。だから遠足や社会科見学はそれ自体は好きだったけれど、楽しい思い出もあれば、楽しくない記憶もある。仲いい人もあんまりいなかったし、誰かといて安心するということがほぼ無くていつも緊張していたから、結果的に一人で行動せざるをえない。だから決して「一人が好き」というわけでも無いのよね。まあ、もう小学生じゃないから楽なもんですが。

 

自然博物館

 リベンジ・自然博物館。今日は一人だし誰もいない。存分に楽しめる。

 

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松花江マンモス

 上を仰ぎ、でかー、と呟く。なんでこんな大きい必要があるわけさ。骨一つひとつが大きい。マンモスは肉食だったのかわからんけども、人が食べられたらまるまる胃に収められてしまうだろう。槍を持った人類たちがエイヤ―エイヤーとマンモスを突く漫画の一コマが昔から大好きだった。

  博物館は情報量が多くて悔しい。すべてを理解し尽くすことができないのがわかっていて、悔しい。でもすごく楽しい。一生この場所にいられるなあと思う。

 宇宙、化石、三葉虫、クレーター、隕石、地学、植村直己、DNA、高周波、ブラックホール、恒星の死、ライオンの顔の骨格、エメラルド、紫外線を当てると発光する鉱物、ブナ、タヌキ、メタセコイアシーラカンスイワナタカアシガニ

 

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浮く宇宙服

 小学生が館内を見学している。しっかり者の子が集合時間から逆算して残されている時間を懸命に計算し班の子に叫んでいる(「あと1時間だって!」)。セキ君がいないどこに行った?ときょろきょろ探している子たちがいる(「セキ、単独行動しすぎ!」)。学校の先生がたくさんの生徒に囲まれ移動している。子どもたちは探検ボードを首から下げている。私も欲しい!探検ボード。トリケラトプスティラノサウルスの動く模型に興奮する子どもたち。瑪瑙の展示にテンションが上がる私。嵐のように小学生がやってきて去っていった。彼らがいなくなった館内は、先ほどより幾分温度が下がった気がした。

 

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めっ可愛(めっちゃ可愛い)

 館内にあるレストランで昼食とする。フライドチキンがのったカレーを食べる。これはつまり「恐竜の肉」をイメージされているのかしら?皮がパリパリ。なんだか「恐竜の肉」を頬張る私 is ティラノサウルス。私はトリケラトプスの肉を食っている。みなぎる生命力。人は肉を食べることで凶暴性を高めた(のかもしれなかった)。しかし私は肉が好きだ。ごめんな。

 

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ブナ

 千葉と沖縄にブナが確認されていないのは、前者は500mを超える山が無いかららしい。沖縄は暑いから。日本海側は葉が大きく、太平洋側は葉が小さい。

 

野外施設

 博物館本館から外に出る。

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 テンションが上がる。水辺や緑豊かな場所に行くとやっぱり気分が高まる。嬉しい。

 

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沼2

 複数の流れができていて見ていても面白い。沼を横断する木製の橋の欄干に手を添え、身を乗り出すと底が見えないドロッとした水がただただそこにある。左右を見渡せば人はいないし、仮にリュックサックを遠く遠くに放り投げて自分も飛び込んでしまえば私ってば誰にも見つからんかもなー、へへ、と思いながら、しかし沼は確か浅いのだった。私泳げるし。泳げて良かった。でなければ歯止めがひとつ存在しないということになるのだから。

 

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沼3

 足を一歩前へ運ぶたびに、木の板が乾いた音をたてる。楽しくて心が浮き立つ。ボードウォークはいい。

 

 

 たくさん歩いた。とにかくたくさん歩いた。帰り道はローソンで梅味のガリガリ君を買って歩きながら食べた。さっぱりとした甘さで美味しい。酷使した体に染みわたり、ふらふらになりながら帰った。こうして極限まで自分を追い込んで遊ぶことを私はやめられない。

 かつての遠足の記憶はそれとして、次、博物館のことを思い出すときは今日のことを思い出せばいい。そう思った。